医療従事者のための医療倫理学入門
10.看護の倫理
大西 香代子
1,2
,
大西 基喜
3
,
浅井 篤
4
,
永田 志津子
3
,
新保 卓郎
3
,
福井 次矢
3
1京都大学大学院医学研究科修士課程
2社会健康医学系専攻(在学中)
3京都大学医学部附属病院総合診療部
4京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
pp.902-904
発行日 2000年10月1日
Published Date 2000/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903118
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〔ケース〕
卒後2年目の看護者Sさんは,主任と一緒のある準夜,夕食の前に,糖尿病のMさんの血糖値を測定した,Mさんには,朝夕の血糖値測定とインスリン注射の指示が出されていた.ところが,その日,Mさんの血糖は84mg/dlであった.昼前から嘔気があって,昼食は3割しか食べていない,まだあまり食欲はないが夕食は食べてみる,という.Sさんはインスリンをうっていいか迷い,主任に相談,主任はすぐに当直医に電話をかけて,指示を仰いだ.すると当直医は,「主治医が指示を出しているのだから,そのとおりにすればいい.血糖値に応じた量のインスリンを指示しなかったのは主治医なんだから.」といった.主任はSさんに,指示どおりヒューマリンNをうつように命じた.Sさんは,注射器を取り上げながら,これでいいのだろうかとまだ迷っていた.
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