医療従事者のための医療倫理学入門
8.インフォームドコンセント—情報開示の基準を中心に
浅井 篤
1
,
大西 基喜
2
,
永田 志津子
2
,
新保 卓郎
2
,
福井 次矢
2
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
2京都大学医学部附属病院総合診療部
pp.721-723
発行日 2000年8月1日
Published Date 2000/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903073
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〔ケース〕
47歳,女性.Wさんは幼少期の外傷のため右眼を失明していた.左眼は全く正常であった.担当眼科医は「手術によって右眼の視力の回復および美容上の改善が期待される」として,右眼の手術を勧めた.Wさんは「右眼に対する手術がもう一方の眼に影響することがあり得るか」について直接的には質問しなかったが,手術によって引き起こされる可能性のある合併症について多くの質問をした.また,正常な左眼への不慮の害も懸念していた.
不幸にも右眼に対する手術は失敗した.さらに交感性眼炎(重症破壊性炎症で他眼の損傷または疾患に続発して起こる虹彩毛様体炎の一型)が合併し,両眼の視力を完全に失ってしまった.文献的には交感性眼炎か発生するリスクは14,000分の1であった1).
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