医療従事者のための医療倫理学入門
11.Quality of Lifeに関する倫理的考察:使用上の注意
浅井 篤
1
,
大西 基喜
2
,
永田 志津子
2
,
新保 卓郎
2
,
福井 次矢
2
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
2京都大学医学部附属病院総合診療部
pp.982-984
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903137
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〔ケース〕
研修医Xがある日,2人の新入院患者を受け持った.ひとりは意識清明だが全身衰弱が激しく寝たきりになっている高齢末期がん患者,もうひとりは全身状態には大きな問題のない中年の細菌性肺炎患者であった.Xは2人の患者のquality of life (QOL)を自分なりに比較し,末期癌患者のQOLは肺炎患者のそれよりも著しく低いと感じた.
研修医の日常業務は厳しく,どうしても個々の患者にかける労力に差が出やすい.Xは肺炎患者の診療により多くの精力を傾けることにした.そのほうが時間の価値ある使い方だと思った.なぜなら,QOLの高い患者により多くの労力を費やすほうが効率的だと感じたからである.
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