医療従事者のための医療倫理学入門
3.医師—患者関係
大西 基喜
1
,
浅井 篤
1
,
永田 志津子
1
,
新保 卓郎
1
,
福井 次矢
1
1京都大学医学部附属病院総合診療部
pp.248-250
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902952
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〔ケース〕
T氏は53歳,男性,会社役員である.約1年前に昇進してから仕事が忙しくなり,睡眠時間が十分取れなくなった.それとともに腰痛,肩こり,頭痛などがよく生ずるようになったという.3日前からまた強い後頭部痛があり,今日は和らいできたが仕事が休めたので来院した.頭部のCT検査をして欲しいとのことである.N医師は彼を診察し,総合的に筋緊張性の頭痛と診断した.脳の病変からくる頭痛とは全く考えられず,CT検査は診断には無益であると説明したが,せっかく来たので検査をぜひやって欲しいと繰り返し希望している.N医師は,「またか」と心の内で嘆息した.最近,脳腫瘍の患者のドラマが視聴者に受けていて,この種の要求が増えているのだった.
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