医療従事者のための医療倫理学入門
6.医療経済と医療倫理
新保 卓郎
1
,
浅井 篤
2
,
永田 志津子
1
,
大西 基喜
1
,
福井 次矢
1
1京都大学医学部附属病院総合診療部
2京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻
pp.520-522
発行日 2000年6月1日
Published Date 2000/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903023
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〔ケース〕
55歳,男性.年余にわたり腸骨に巨大な血友病性偽腫瘍が形成された.増大した偽腫瘍は骨盤腔の大半を占め,右腸骨,仙骨を破壊しており,歩行困難であった.この偽腫瘍が自壊して出血し,ショック状態となった.そのために,第8因子製剤,アルブミン製剤,赤血球輸血3,000mlを必要とし,ショックの軽快後も手術療法などの根治療法は成功せず,毎日少量ずつ出血が続いた.このため毎日第8因子製剤2,000単位の使用が必要であり,また2週に1回の頻度でショックになるため,その都度大量輸血が必要であった.毎月の保険診療報酬請求が100万点を超過した.主治医はこの患者1人に高額の医療費を集中して使い続けることに抵抗感を感じはじめた.
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