特集 看護の質の評価
看護機能と診療報酬上の評価方法—業務量調査の試行によって得られた看護内容とその量を手がかりとして
筒井 孝子
1
1国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
pp.323-327
発行日 1998年4月1日
Published Date 1998/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902377
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看護行為別の直接経費の算出方法
多くの看護職にとって「自らが努力して実践している看護行為を正当な方法で経済評価して欲しい」という要請は,専門職種として当然あると思う.これまでの基準看護方式,平均在院日数を加味した特3種の新設,そして療養型病床群の看護・介護体系,1994年10月からの新看護・看護補助体系の新設や夜勤加算の算定という一連の看護料にかかわる診療報酬上の改定は,病院における看護をそれ以前の状況よりも改善するという方向で進んできたと評価することができる.しかし,急性期病床における平均在院日数短縮化の大きな波や完全週休2日制の導入は,病棟看護実践における看護実践を高度化させ「人は増えてもより多忙になる」という結果となっている場合が少なくないといえよう.これは,最近の受療率や1件当たりの受診日数が減少ないし横ばい傾向がみられる一方,1人1日当たりの医療費は増加する傾向になるものである.このような傾向は,わが国だけの問題ではなく先進国共通の課題となっている.
現在,厚生省では,医療保険制度の構造の見直しに着手している.見直しの視点としては,①人件費,施設関連コストの比重の増大に際して,適切な人件費および施設関連コスト算定の評価方法の確立や②適正化された場合においての医療の質の評価手法という2点が示されている.
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