医療への提言(最終回)
医師づくり(II)
水野 肇
pp.51-54
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206399
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人気職業ではすまない医師
医師は生涯教育である.しかし,もともと能力のない者が,いかにコツコツと努力しても,医師として十分な力を発揮できるものではない.そこで,医師として将来やっていくためには,最低,この程度のレベルは持っていなければならないということをテストするのが,医師国家試験である.それに合格したところから「医師」という長い努力を必要とする職業がスタートするわけである.だから医学部の教育は,一人前の医師にするための教育なのではなく,医師として最低必要な知識と技術(それと人格なのだが,このほうは教育されていない)を教育しているわけなのである.
周知のように,日本では高校を卒業して医学部に入学すると6年間(他の学部より2年長い)医学教育を受け,卒業すると医師国家試験の受験資格が与えられる.それに合格すると,医師免許証が交付され,そのあと2年間の卒後研修が病院で行われ,それからあとは一人前の医師として活動するというたてまえになっている.実際には,2年ぐらいの卒後研修ではとても一人前にはなれないので,免許をとってから少なくとも数年間は修業しなければならないのが現実で,多くの開業医は早くても卒業後10年ぐらいたってから開業しているのが現実である(この点は欧米とはかなり差があり,欧米は早い).
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