医療への提言・14
緊急問題(II)
水野 肇
pp.44-48
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206300
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成人病予防法
欧米各国の死亡率は①心臓病,②ガン,③脳卒中の順だが,日本は①脳卒中,②ガン,③心臓病の順である.日本の死亡率全体をみると,多少の曲折はあるにしても,ヨーロッパの各国がたどった後を追っているといっても過言ではない.結核もヨーロッパでは100年前に,いまの日本のように沈静化していたし,胃ガンも同様の傾向である.もちろん,過去に展開された結核追放運動や,抗生物質の開発なども大きな力があったことはいうまでもないが,文明の進歩とともに疾病構造が変化していくことには着目すべきである.
現在の日本の成人病を考えた場合,うまく行政を展開すれば,脳卒中は3分の1から半分くらい減らすことが可能だとされている.無論,遺伝因子にかかわる点はどうにもならないかも知れないが,食生活と環境(暖房)の改善によって減らすことができる.さらに卒中になっても,早い時期にリハビリを開始すれば,寝たきりを防ぐことも可能になっている.こういった医学上の実績をふまえた行政を展開すべき時期がきている.
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