病院私論・10
大学病院(2)—はたして最良の教育病院か
守屋 博
pp.61
発行日 1975年10月1日
Published Date 1975/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205731
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大学病院に押しかける患者の心理
一般に病院を選ぶ国民の側からすると,大学病院にさえ行けば,どんな病気でも治してもらえるというイメージがある.医学のあらゆる分野の専門家がたくさんいるから,医療の幅と深さの点で,他の市中病院よりも安心してかかれる,たとえ自分の病気が,難しい稀な病気であっても,まず見逃されることはないだろう,といった安心感である.
本来なら医療施設の選択は欧米の場合のように,医療コンサルタントがいて,その人に相談するのが,いちばんいい.しかし,わが国にはそういうシステムがないから,患者は素人判断で勝手に選ぶ場合が多い.そこで適当な市中病院を選ぶよりも大学病院を選んでおけば,まず当たり外れがないだろうということで,デパートに買物に行く場合と同じ心理だ.
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