特集 変貌する感染症
百日咳の復興―はたして復興か?
倉本 秋
1
,
有瀬 和美
2
,
瀬尾 宏美
3
,
脇口 宏
4
,
徳田 浩一
5
,
吉田 眞紀子
6
,
砂川 富正
7
1高知大学医学部附属病院
2高知大学医学部附属病院感染管理
3高知大学医学部附属病院総合診療部
4高知大学医学部
5国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP-J)
6現鹿児島大学医学部・歯学部附属病院小児科
7国立感染症研究所感染症情報センター
キーワード:
百日咳
,
FETP
,
集団発生
,
感染対策
,
疫学調査
Keyword:
百日咳
,
FETP
,
集団発生
,
感染対策
,
疫学調査
pp.572-576
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
百日咳,水際阻止作戦
2007年5月25日,香川大学における百日咳の集団発生と休校措置が報道された.高知大学医学部附属病院感染対策チーム(ICT)は,百日咳の高知浸透を念頭に置いた水際阻止作戦を検討した.学生の健康状態の注視を行いながら,百日咳症例の早期発見の準備に入った.教科書的には「成人の百日咳の症状は典型的でない.ペア血清による抗体価の上昇,培養検査,PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などを併用して診断する」であった.
検査室の百日咳の培地は毎年10枚購入するが,ほとんどは使用されず,期限切れになる.しかし集団発生に備え,追加発注を行った.百日咳のPCR検査は外注でも扱えず,国立感染症研究所か特定の都道府県衛生研究所に依頼するしかなかった.当院の検査室スタッフが国立感染症研究所へ研修に赴き,試薬をそろえ,百日咳の院内PCR検査準備も整った.6月12日には職員ALLメールで上記の経過を伝達し,非典型的な成人百日咳を想定した診療を全診療科の医師に依頼した.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.