ジュネーブからのメッセージ
公衆衛生の最良の日々はこれからだ!
中谷 比呂樹
1
1WHO事務局
pp.15
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102647
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明けましておめでとうございます.年頭の,しかも,この連載の第1回を“I believe the best days for(public)health are ahead of us, not behind us.”(公衆衛生の最良の日々はこれからだ!)というWHO事務局長マーガレット・チャン博士の任期延長受諾演説(2012年5月)の引用から始めたいと思います.確かに,財政危機,政治の不透明感,政官学あらゆる方面への不満など,閉そく感が世界の多くの国を覆っています.
一方,所謂,新興国・途上国の発展は目覚ましく,明日は今日より必ず幸せになっているはずだと信じている多くの人々がいます.事実,世界銀行の予測では,アフリカの多くの国が今後10年以内に低所得国状態を脱し,中所得国に移行するとしています.この背景には,21世紀に入って最初の10年に行われたエイズ・結核・マラリアを中心とする国際保健ODA(開発援助)等資金の2.5倍増が,これら三大感染症の新規発生の減少と健康な労働者と消費者を創ったことがあると言ったら,WHOの担当局長である私の我田引水でしょうか.
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