第23回日本病院学会演題選
外来窓口における老齢患者接遇のための基礎調査
別府 勇
1
1虎の門病院保険課
pp.72-73
発行日 1973年12月20日
Published Date 1973/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205223
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現在日本の老齢人口は加速的に増加しつつある.平均寿命は男子が70歳,女子が75歳と10年前に比較すると4歳強も延びている.これら老齢者は有病率も高く,昭和45年国民健康調査によると65歳が最も受療率が高くなっている.当院の受療率を調査してみたところ(表1),47年1月と48年1月の60歳以上の受療率を内科初診患者について調べた結果,1割弱は60歳以上の患者であった.48年1月より政府による70歳以上の医療費無料政策の影響で,これら患者は増加が見込まれたが,予想に反し「よこばい」になった.原因は調査期間が医療無料化制度のスタート月であったために行政指導が末端まで行き渡っていないことや,60歳以上の受療平均年齢が当院の調査によると67歳であったため今回の制度の対象である70歳以上とは3歳も較差があったことが原因にあげられる.現に東京都が7月より65歳以上の医療費無料化制度を実施したところ,これら老齢患者は6割弱も受療率が延びている.
次にこれら老齢患者の来院分布を見るために,1か月の60歳以上の内科初診患者を調べたところ,図1に示すように,その24%もが30km以上も離れた東京都以外のところから来院しており,患者の来院分布が広範囲に及んでいることがわかった.一方,医療機関は昨今機能の高度化が進み,その機構的複雑さも著しく増してきているために,来院した患者が迷わずにスムーズに受診することは非常にむずかしくなってきた.
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