特集 看護の独立を考える
"看護の独立"が意味するもの
吉武 香代子
1
1弘前大学・教育学部看護学科
pp.26-30
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204650
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‘看護の独立’ということがいわれはじめてすでに久しい.昭和23年の保健婦助産婦看護婦法の施行前は,看護は診療に従属し,看護の独立はなかったといわれている.しかし,私どもが‘看護の独立’を得たといわれてから,既に20余年が過ぎた.この間に,私どもが得た‘看護の独立’とは何であったろう.このことばは,医師によって,またその他の医療関係者によって,更に何よりもまず看護婦自身によって,どのように理解されているだろうか.そしてまた,20余年のうちに,その理解の内容に変遷はなかっただろうか.
ここでまず,‘看護’ということばの使い方を限定しておきたい.バージニア・ヘンダーソンによれば,看護とは健康・不健康を問わず,個大に援助を与えることであるといわれる.しかし,看護婦の援助を最も切実に欲しているのは患者である.そこで,本稿においては看護を主として病院における看護に限定し,病院の中で他の医療関係者とともに働く中での‘看護の独立’に焦点をしぼって考えたい.
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