特集 看護の独立を考える
病院組織と看護
石原 信吾
1
1虎の門病院事務部
pp.32-36
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204651
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まえがき
‘看護の本質’とか‘病院組織における看護のあり方’とか‘医師と看護婦の関係’とかいうテーマほど,病院および看護関係者の間でくり返し問題とされ議論されてきたテーマも少ないであろう.くり返し問題とされてきたということは,それだけ問題としての重要性があるからであり,またくり返し議論されてきたということはそれだけ問題の内容が困難であるためと推定される.つまり,非常に重要な問題でありながら、それに対する明確な結論がなかなかえられないのである.われわれは,まずその点を問題にする必要がある.なぜ,20年以上も議論されていてなお結論がでないのか.そういう点の考察なしに,いくら議論をくり返していても,そこに事態の新しい展開は期待できないのではなかろうか.
では,なぜそこでは議論がくり返しに陥って発展に向かわないのか.私は,議論が問題の根底を離れた表面的なところで行なわれているためではないかと考える.問題の本質と,その本質を構成する要件を根底的に把握する.もし,そういうことなしに議論がなされているとすれば,いつまでたっても結論がでないのは当然である.問題の内容がむずかしければ,その結論は容易にはでないであろう.しかし,そうであればあるほど議論の発展性が要請される.一歩一歩議論を発展させながら結論に向かう.それ以外に方法はないはずである.とすれば,議論に発展性を与えるものは何かという問題をまず考えなければならない.
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