連載 日本版クリニカル・ガバナンスの確立に向けて・2
ニュージーランドにおける医療制度改革とクリニカル・ガバナンス
藤澤 由和
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.601-604
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100652
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近年医療行為やその組織化をめぐって,クリニカル・ガバナンスといった考え方が,イギリスのみならずオーストラリアやニュージーランドにおいても強調されつつある.この考え方が生じてきた背景には,1980年代後半以降の医療制度改革の限界が,医療従事者のみならず政策立案者の間でも強く意識されてきたという点を指摘することができよう.そこで本論においては,クリニカル・ガバナンスといった考え方が求められてきた状況を,ニュージーランドを例に,医療制度改革の流れと関連づけながら検討を行うこととする.
ニュージーランドにおける医療制度と医療制度改革
ニュージーランドの医療制度は基本的にイギリスの制度を踏襲したものであり,その財源は一般税によって賄われている.また医療サービスの提供に関しては,地域中核病院などの公的病院が二次医療を中心に,ニュージーランド国民および永住権保持者に対して原則無料で医療サービスを提供している.また一次医療に関しては,原則的に一般開業医(general practitioner:以下,GP)らによって提供されるが,そのサービス利用に関しては,基本的に定額負担を求められることとなっている.また専門医による診療を受けるには,事前にGPによる紹介が必要とされ,こうした意味でGPはゲートキーパーの役割を担っているといえる.
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