連載 医療機関のマーケティング戦略─産科の受療行動からみえるもの・3
医療機関の広告・広報が患者(消費者)の産科受療行動に与える影響―広告規制緩和前後の比較
碇 朋子
1
1静岡県立大学経営情報学部
pp.597-600
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100651
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医療機関の広告に対して,2001年(第4次医療法改正)・2002年(平成14年3月19日付け厚生労働省告示第158号「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項」など)と続いた一連の規制緩和は,医療機関が表示できる情報の質・量を劇的に改善した.
2001年3月の改正では,「ポジティブリスト方式」を堅持したままで,医師の学歴などの個人的情報や保有している医療機器の種類,得意とする診療分野など13項目を広告可能な事項として追加した.この改正では,主に客観評価が可能な事項が規制緩和され,患者が病院を選ぶ判断材料を増やし,病院の経営努力を促すのが政策的な狙いであったとされる.2002年4月には,21項目が規制緩和され,広告可能となった.この2002年の緩和では,前年の緩和の際にも焦点となっていた「専門医の認定」といった項目の緩和の他,手術件数や疾患別患者数といった,より医療内容にかかわる具体的情報もアピール可能となった.そして,これら2001年と2002年の規制緩和は,いずれも医療機関に関する情報の質・量の流通を増大させることによって,患者が医療機関個々の提供サービスの内容をより厳しく吟味したうえで受療する医療機関を決定することを促進し,さらには,医療市場に適正な競争がもたらされて各医療機関のサービスの質や効率が向上することを企図している.
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