連載 日本版クリニカル・ガバナンスの確立に向けて・3
クリニカル・ガバナンスと医療安全
橋本 廸生
1
1横浜市立大学医学部医療安全管理学
pp.696-699
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100671
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安全は提供されるサービスの基本属性である.その安全のレベルが個々の医療場面でばらついていたのでは社会の納得は得られない.しかし,現実には,例えば「術後の管理のレベル」が病院間で,あるいは同一病院の診療科間で格差が厳然として存在し,そのことの是正が忘れられたまま放置されていることがある.安全管理から,管理のレベルの低い部署は高いレベルに引き上げ,院内で均質のサービスが提供されることが要求される.そうしなければ,患者を守ることも個々の医療者を守ることもできない.このような組織的な診療品質管理活動の中心概念として「クリニカル・ガバナンス」を提唱したい.本稿では,まず,病院の機能と安全の関係,クリニカル・ガバナンスの基本的な考え方を整理し,次いで,医療安全管理活動を組織戦略として展開する時の要点を提示することとする.
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