Japanese
English
特集 脳卒中
脳卒中患者の呼吸機能について
Respiratory Function of Stroke Patients
高島 浩昭
1
,
堀 秀昭
2
,
髪元 朋史
2
,
中島 邦博
3
,
島田 政則
3
Hiroaki TAKASHIMA
1
,
Hideaki HORI
2
,
Tomofumi KAMIMOTO
2
,
Kunihiro NAKASHIMA
3
,
Masanori SHIMADA
3
1福井県身体障害者更生指導所
2福井医療技術専門学校
3福井総合病院
1Fukui Prefectural Rehabilitation Center for Physically Disabled Persons.
2Fukui Institute of Thechnology for Medicine.
3Fukui General Hospital.
pp.712-717
発行日 1988年11月15日
Published Date 1988/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104130
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Ⅰ.はじめに
人間は生命維持のために肺を介して外界から酸素を取り入れ,炭酸ガスを体外へと排出して諸活動を営んでいる.したがって,呼吸機能が低下すると,それに伴って運動機能も低下する.それが四肢筋,呼吸筋の萎縮,心循環系の適応能力の低下を助長する悪循環に陥る.また,逆に脳卒中患者などで片麻痺を呈するとそれに伴う上肢,下肢の運動機能の低下はもちろんのこと,呼吸に関係した神経,筋の障害により呼吸機能も影響を受けることとなる.それに加え環境や加齢に伴って身体諸臓器の機能にも変化が出現する.特に肺は気道により外界に直接開口している臓器であるため,喫煙や大気汚染など外界からの侵襲を容易に受ける.また高齢になればなるほど肺の予備力が低下し,感染に対する免疫力の減退などで他疾患に罹病する危険性も高くなる1).
これまで,脳卒中患者の運動機能との関連で,運動耐久性については黒木2),間島3)らがトレッドミルを使用した歩行能力について報告している.また,脳卒中患者の肺機能,胸郭,横隔膜などについても井口4),尾田5)がX線透視,呼吸機能検査について報告している.しかしながら,脳卒中患者を対象として,系統的に呼吸機能を調査し検討を加えた論文は少ない.
そこで,今回われわれは,最初にⅡで脳卒中患者の肺機能の実際について,肺機能検査結果を中心に述べる.次にⅢでX線透視,筋電図を使用した横隔膜運動について呼吸への影響を検討(Ⅲ)してみる.最後にⅣで分時換気量,酸素摂取量,仕事量(以下,METSと略.)などよりみた運動耐久性について述べてみたい.
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