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Q1 脳卒中の運動機能回復過程でみられる連合反応の病態とは?
中枢神経障害による運動麻痺では,随意運動ができない時期においても,非麻痺側の随意運動にともなって麻痺側に運動がみられる場合がある.これを連合反応(associated reaction;AR)という(表1).連合反応は,努力性の運動によって麻痺肢に誘発される陽性徴候として捉えられ,両上肢間では同名部位に左右対称性に,両下肢間では内外転については対称性,屈伸については相反性に出やすい特徴がある.両下肢間における内外転の連合反応は,Raimisteの反応1)として知られる.非麻痺肢の随意運動によって麻痺肢に誘発される対側性連合反応と,麻痺肢の運動によって麻痺肢に誘発される同側性連合反応に大別され,脳における機能的距離(functional distance)を反映する.麻痺肢の随意運動が可能になった後でも,例えば,歩行に際して麻痺側下肢の振り出し時に麻痺側上肢が屈曲する同側同時運動(homolateral pattern)などが観察される.多関節に波及することが鏡像運動(mirror movement)との違いであり,また,誘発動作が終了しても連合反応が残存する場合があること,筋電図学的に屈筋と伸筋の同時収縮がみられることが示されている.
連合反応の標準的な評価基準は確立されていないが,Macfarlaneら2)は立ち上がり動作時に上肢に誘発される連合反応を,持続,関節数,解除の可否,課題への影響の4項目について,0~3の4段階で評価し,その信頼性を検討している(表2).連合反応は複数の関節に及んで誘発され,特有の肢位を誘発して拘縮リスクを高めることから,ボツリヌス毒素療法における治療の標的の1つとなる.
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