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特集 整形外科
人工生体材料における最近の進歩
Orthopedic: Recent Advances in Biomaterials
林 和生
1
Kazuo HAYASHI
1
1九州大学整形外科
1Department of Orthopaedics, Kyushu University.
pp.439-445
発行日 1988年7月15日
Published Date 1988/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104058
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Ⅰ.初めに
整形外科用生体材料の最近の進歩は目覚ましいものであるが,今回はその中で人工関節置換術に応用される生体材料の最近の進歩について述べてみたい.
今後高齢化が進んでいく現在において大腿骨頸部内側骨折に対する人工骨頭置換術は,その需要が増大するであろうし,平均寿命が延びていけば現在のように人工関節全置換術の変形性関節症への適応年齢を60歳前後のままにしていくなら人工関節に要求される耐久年数はより長期のものになると思われる.また,大腿骨頸部内側骨折に対する人工骨頭置換術においては今までのように痛みを除いて単に社会復帰させるだけの役割から,今後は退院後もさらに10年・15年と長もちのする性能の良い人工骨頭が求められてくると思われる.そして,このaging(経年変化)の問題は,整形外科領域内において今後取り組まれねばならない大きな課題である.
そこで,この人工関節材料への応用に関する最近の生体材料の開発に目を向けると目覚ましいものがあるが,莫大な数の実験報告(in vitroからin vivoまで)が発表されているので時として頭が混乱しがちになる.よって,まず今までの歴史において幾多の試行錯誤(trial and error)の中で何がほぼ解決され何がまだ解決されてないか,そして今後の高齢化社会に向けて何を解決していくのが重要かということを整理して現在の多くの実験報告を見つめ直す必要がある.
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