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特集 感覚統合療法の効果と限界
脳性麻痺児に対する感覚統合療法
Effects and Limitations of Sensory Integrative Therapy: Sensory Integrative Therapy for Cerebral Palsied Children
佐藤 ヨシイ
1
Yoshii SATOH
1
1新潟県はまぐみ小児療育センター
1Hamagumi Children's Rehabilitation Center.
pp.167-172
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103984
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Ⅰ.初めに
Ayresの感覚統合理論は,学習障害児を対象として構築されてきたもので,近年ようやく,自閉症にも応用され始めた段階である.
脳性麻痺児の知覚・認知障害にこの治療理論を応用してみることを示唆している文献はいくつかあるものの,いずれもその実際や効果についてはふれていない.
筆者は,脳性麻痺,Down症,学習障害,自閉症,てんかんなど多くの発達障害児に接しているが,特に脳性麻痺児のもつ知覚・認知障害に対しては,作業療法士として納得できるアプローチが得られず,試行錯誤を繰り返してきた.
中枢神経系に障害をもつ脳性麻痺児は,自発的な動きが制限されやすく,環境からの刺激を適切にコントロールして受け入れることが困難な児である.知覚・認知障害は高次脳機能の局在的障害を予想させるが,一方また感覚入力が量・質ともに貧弱なことが,発達段階にある子どもの感覚統合過程に何らかの影響を与えていないとも言えない.
今回は,その問題の本質に少しでも近づき,感覚統合療法がどのような役割をもてるのか知ることを目的として症例を検討した.
感覚統合理論に基づいた評価・解釈・治療を忠実に実施し,その効果を判定するために,移動は四つ這(ば)い以上で,上肢の運動機能3歳レベル以上,知覚・認知障害をある程度明確にするために知能指数は70以上とした.
対象児は,脳性麻痺(痙直型両麻痺)3名を検討する.
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