特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第2章:中枢神経系に関するもの
7.感覚統合療法
岩永 竜一郎
1
1長崎大学大学院
pp.666-670
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100173
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感覚統合とその障害
感覚統合(sensory integration:SI)理論は,米国のOT,Ayres1,2)が1960~1970年代に当時の診断でいう学習障害(learning disabilities:LD)児を研究し,体系化したものである.SIとは「自己の身体および環境からの感覚刺激を組織化し,環境の中で体を効率よく使用することを可能とする神経学的プロセス,中枢神経系で生じる受容から環境との適応的な相互関係として示される一連の現象」3)とされている.SIに問題がある場合,SI障害と呼ばれている.SI障害は大きく感覚調整障害,プラクシスの障害(運動行動を企画することの障害)の2つに分けられる.前者は感覚過敏や感覚刺激への気付きにくさ等の問題として表れ,後者は不器用さとして表れることが多い.SI障害は,発達性協調運動障害や,自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD),注意欠陥多動性障害等の子どもにみられやすい.
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