Japanese
English
特集 脳卒中リハビリテーションの再検討
Bobath Approachの位置付け
The Transition of Bobath Approach
紀伊 克昌
1
Katsumasa KII
1
1ボバース記念病院
1Department of Rehabilitation, Bobath Hospital.
pp.735-740
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103900
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Ⅰ.チャレンジスピリッツとヨーロピアンヒューマニズム
1940年ごろに英国王立病院に勤務していたMrs Bobathは,右上肢の屈筋痙性が著しい脳卒中後遺症患者を担当して,他動的ストレッチング,バイブレーション,アイシングなどの理学療法を試行し,右上肢の伸展運動改善に努めた.肖像画家であるその患者には左手で絵を描くように利き手交換を勧めたが,患側上肢の症状に苦痛を憶え患者は前向きのことが考えられない状態であった.Mrs Bobathは粘り強く取り組んでいるうちに,患側体幹の肢位を変えることにより肘伸展角度が大きく変化する現象を発見した.変化したこの現象に着目し,局所を操作するよりも患側全体の姿勢や肢位を変えることで,痙性が寛解し患者の潜在機能が発揮されることを幾(いく)度も確めた.この現象を論文にして発表するために,夫のDr Bobathに理論説明を求めた.Dr Bobathは痙性を説明しているあらゆる文献に目を通し,夫人の要望に応えようとした.彼は神経学に関して臨床と基礎の学問が分化したために種々の矛盾と盲点が派生していることに気が付いた.
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