Japanese
English
特集 精神遅滞
精神発達遅滞児の早期療育
Early Developmental Intervention in Mentally Retarded Children
中山 修
1
,
萩原 利昌
1
,
長谷川 元
1
,
谷島 朝生
1
,
吉森 秀一
1
,
菅野 弘子
1
,
駒木根 美和
1
,
内出 和美
1
Osamu NAKAYAMA
1
,
Toshimasa HAGIWARA
1
,
Motoshi HASEGAWA
1
,
Asao YAJIMA
1
1川崎市心身障害センター
1Kawasaki City Rehabilitation Center.
pp.291-299
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103320
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はじめに
「大丈夫!もうすぐ歩けるようになりますよ」,「普通に育てなさい」という,励ましともなぐさめともつかないような言葉で,医療から一時見放された精神発達遅滞児(以下MR児)の親は少なくない.肢体不自由児の場合は,全国的に早期診断,早期療育が確立しつつある.しかしMRを主症状とする子供たちは,発見が遅れがちなこと,医学的な治療法がないこと,親や社会の偏見から障害の認知がなされにくいことから,二次的障害が明瞭になって初めて療育の流れに乗ることになる.これまでのMR児の治療教育の少なからずは,二次的障害の改善に費され,体系化されてきたと言っても過言ではない.MRは治らない,治せないという医学常識が,二次的障害の予防すらも放棄してきた面がある.
しかし早期診断技術の普及に伴い,MR児も中枢性協調運動障害や運動発達遅滞として早期療育の対象となり,その成果が注目され始めている1,2).
当川崎市心身障害センター(以下当センター)でも1980年7月から,MR児を含めた発達遅滞児の早期療育を開始した.当センターは医療機関ではないため,発足の経緯も組織も療育形態もやや特殊であるが,福祉機閥で実践可能な早期療育の一形態として,その内容を今後の課題も含めて報告する.
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