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講座
心理学シリーズⅡ 知覚と認知 6.認知のメカニズム
Psychology Serics Ⅱ. Perception and Cognition 6. Mechanism of Cognition
河内 十郎
1
Juro KAWACHI
1
1東京大学教養学部
1The College of Arts and sciences, University of Tokyo.
pp.859-865
発行日 1984年12月15日
Published Date 1984/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103223
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はじめに
前回図1-Aに人間の視覚系の概要を示したが,認知は,視覚情報が線条野や視覚連合野に到達しただけで成立するわけではない.視覚系で処理された情報が,脳のさまざまな部位に伝えられて成立すると考えられる.したがって認知のメカニズムを考える場合には,1)視覚情報はどのように処理されるのか,2)処理された情報は脳内をどのように伝わっていくのか,の2点を明らかにすることが必要となる.こうした知見と,前回述べた人間の損傷事例や動物の破壊実験から得られた知見とを対応させていくのが,認知のメカニズム解明への最も有効なアプローチとみることができる.1)と2)の知見の大半は動物研究によるものであるが,今回は,視覚機能が人間に近いとされているアカゲザルを中心に,現在得られている知見をみていくことにしたい.
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