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特集 老人保健事業の現状と展望
老人保健事業の将来展望
Perspective of the Health Service for the Aged
土居 眞
1,2
Makoto DOI
1,2
1厚生省公衆衛生局老人保健部老人保健課
2環境庁大気保全局企画課
1Division of the Health for the Aged, Ministry of Health and Welfare.
pp.541-546
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103134
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Ⅰ.はじめに
我が国は急速に高齢化社会をむかえようとしている.昭和57年では,65歳以上の者が全人口に占める割合は9.6%であるが,昭和75年には15.6%,昭和95年には21.8%,すなわち国民5人に1人が老人という状況になると推計されている.
高齢化社会の問題は,単に保健医療だけに限らず,老後の生活基盤である年金や雇用,住宅や地域環境,あるいは文化など老人をとりまくさまざまな分野で生じ,しかも,老人になってからだけではなく,中高年からの健康づくりへの日常的なとりくみや若年者への経済負担の増加などといった観点からみれば,世代を超えた国民的な課題としての広がりをもっているところに特徴がある.
昭和58年2月から,健やかに老いるために中高年から,病気の予防,治療,リハビリテーションに至る一貫した保健医療サービスを市町村において提供すべく,老人保健法が施行された.老人保健法は基本的には2つの性格,すなわち,老人医療への自己負担の導入と保険者間の費用負担の公平化という財政調整,および,中高年からの健康づくりを中心とした地域保健活動の充実という性格をもっている.しかし,今後の医療経済の見通し,あるいは医学・医療の発展という点からみても,これらの2つの側面を切り離して考えることはできない.
本稿は,医療を除く保健事業,なかでも,リハビリ活動という点に焦点をあてて,老人保健法の課題について述べてみる.
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