特集 老人保健法と病院医療の展開
老人保健法と老人医療の将来像
桑名 忠夫
1
Tadao KUWANA
1
1社会福祉法人信愛報恩会信愛病院
pp.583-585
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208059
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老人保健法が国会において可決成立したのは,1年3か月の審議期間を経てのことであった.そして,本年2月施行の日を迎えたのである.その間,信愛病院健康管理部は,月例公開講座において,9月,11月,そして今年1月の3回にわたり,"老人保健法の意味するもの"をテーマとして,"病院から地域へ,地域から病院へ"を取り上げてみた.そして同じころに,清瀬市,東久留米市の福祉講座,小平市の市民講座にて,法の解説とそれへの対応について講話を行った.いずれの講座においても,初めは関心度が低かったが,法の施行間近となり,質疑も活発となった.マスコミが,この法について,センセーショナルに取り上げてくれたおかげと考えている.
かくして2月を迎え,医療サイドは言うに及ばず,社会的に大きな波紋を投げかけたことは,大方の認めるところである.厚生省は,この法案を,適切な医療,生活指導実現への配慮を重視した最も合理的なものと自画自賛していた.しかし一方では,老人と病院にとり苦難時代の幕開け,との評価もあった.特に4月の地方選挙に向けて,悪法撤回をスローガンとして,至る所で連日マイクを通して,繰り返し報ぜられた.しかし,それも選挙終了とともに鎮静化し,また医療サイドにも,それへの対応に落ち着きが見られるようになった.とにもかくにも,この法案が是か非かは,しばらくの時の流れを待たなくては,結論づけられぬことであろうと思っている現在である.
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