Japanese
English
特集 老人保健事業の現状と展望
老人保健事業のかかえる問題点
Problems Related to Health Service for the Aged
小山 秀夫
1
Hideo KOYAMA
1
1厚生省病院管理研究所
1The National Institute of Hospital Administration.
pp.533-539
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103133
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Ⅰ.老人保健法の登場
昭和57年8月10日衆議院本会議において,老人保健法が可決成立し,同月17日に公布された.この法律は,予防から治療,リハビリテーションまでの一貫した保健サービスを総合的に行い,その費用を国民が公平に負担する目的で創設された.治療中心・医療費保障偏重の考え方から,老人の特性を考慮した新しい考え方が明示されたのである.
この法律は,翌年2月1日から実施されたが,制度全体の成否のカギは,40歳以上の住民を対象に行われる医療以外の保健事業(以下単に「保健事業」という)にあるといっても過言ではない.保健事業のねらいは,国民の死因の過半数を占め,老人医療費に大きなウエイトを示している脳卒中,心臓病,ガンなどの成人病の予防,早期発見,早期治療と,脳卒中などの後遺症に悩む人々を寝たきりにせず,家庭で自立した生活ができるよう促進,援助することである.後者は,リハビリそのものを意味し,リハビリが老人保健法の眼目のひとつとなった.
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