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特集 老人保健事業の現状と展望
老人保健事業における保健婦の役割と現状―埼玉県富士見市の場合
The Role of Public Health Nurse in Health Service for the Aged-The case of the City of Fugimi in Saitama Prefecture
内田 恵美子
1
Emiko UCHIDA
1
1富士見市健康増進センター成人保健課成人係
1The City of Fugimi Health Promotion Center.
pp.547-554
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103135
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Ⅰ.はじめに
人間の一生を考えるとき,健康で創造的な生涯でありたいと願うのは,誰れもが望むところである.
しかし,人が長生きをするにつれ,有病率を高め,慢性疾患や慢性障害を多く併発することは周知のことである.また加齢によって日常生活能力が次第に低下し,生活面で他人への依存度を増大してゆく時期でもあり,当市のような大都市近郊のベッドタウンでは,更に急激な核家族化や扶養意識の変化などにより,老人夫婦世帯,単身老人の増加,孤立化などをまねいている.一方,ねたきり老人を抱えた場合住居,家族の負担増など老人をとりまく環境は整備されたとは言い難い現状にある.
老人問題の鍵は,経済,健康,生きがいにあるといわれる.しかし,我々保健婦が関与する生活の場における健康問題は,これらを総合的に含めた問題として浮上し,家族や地域福祉,医療体系とも絡まり,どう対処すべきか決め手に欠ける現状である.
厚生省は昭和53年度より,高齢化社会にそって,高騰が予想される医療費対策に手を打つべく,医療中心のサービスから,予防・リハビリテーション,在宅ケアを重視した「老人保健医療総合対策開発事業」を,市町村主体に試行させてきた.これが昭和58年2月1日に施行された老人保健法の試行事業である.
富士見市も,本事業に取り組み,1.老人の実態把握,2.保健・医療・福祉の各分野との連携,3.老人の心身の状態に応じたサービスの供給方式の検討と実践をしてきた.保健婦として,当初から本事業に携わった立場から,どのような役割をもち実践してきたか以下にまとめてみたい.
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