特集 介護予防をどうすすめる?・1 老人保健,介護保険制度の改革
介護保険時代の老人保健事業の展望
多田羅 浩三
1,2
1放送大学
2大阪大学
pp.616-619
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100117
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「社会保障」という言葉は,戦後,日本人が特に大切にしてきた言葉ではないだろうか.ことあるごとに「社会保障の充実」ということがいわれてきた.この場合,「充実」が期待されたのは,間違いなく「保障」の内容であったと思われる.それでは,ここでの「社会」とは,一体,何だと考えられてきたのだろうか.おそらく「国」と思われてきたのであろう.しかし,その「社会」が,それほど「国」ということだけでよかったのか,どうか.今日,日本人はそのことを問われているのではないか.そのことから考えてみたい.
イギリスでの歩み
今日につながる人類の社会保障の体系は,イギリスで生まれたのである.16世紀,ヘンリー8世の時代である.1517年にルターの「95か条の論題」によって宗教改革の火の手があがった.1534年,ヘンリー8世は首長令を発表した.ローマの権威よりも,国王の権威がまさることを宣言したのである.
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