特集 老人保健法と病院医療の展開
老人保健法への病院の対応
小山 秀夫
1
Hideo KOYAMA
1
1厚生省病院管理研究所医療管理部
pp.606-609
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208068
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医療は国民の福祉を確保していく上で不可欠の存在である.医学医術及び薬学の進歩は健康水準を向上させ,医療機関の量的整備や医療費保障の充実は国民の受療機会を拡大した.医療の高度化と質の向上が望まれている一方,医療費の適正化が強調されている.確かに,医療費は増高した.昭和47年度に約3兆4千億円であった国民医療費は,10年後の今日,約4倍になったと推計されている.特に老人医療費は昭和48年度の7倍以上に増加した.この間,国民所得は約2.4倍伸びたに過ぎない.高齢化社会が確実に進行する現状にあって,国民所得の伸び以上に増大する国民医療費は財政的に大きな問題となっている.
昭和57年8月10日に衆議院本会議において可決成立した老人保健法は,本格的な高齢化社会への対応の第一着手というべきものである.この法律は,予防から治療,機能訓練までの各種保健事業を総合的に行い,その費用を国民が公平に負担する目的で創設された,議論の的となった老人の診療報酬設定は,入院医療から地域や家庭における医療への転換を促進し,投薬などより日常生活についての指導を重視した医療を確立するとともに,老人病院における医療の適正化を意図した.
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