人間と科学の精神世界の統合

　ジョージ・オーウエル（1903～1950）は病死する直前に「1984年」（George Orwell：Nineteen Eightyfour，1949，新庄哲夫訳，早川書房）という作品を書いた．書き始めたのが1946年春からということだからオーウエルは当時，40年後の未来社会の危険と政治的荒廃，権力世界への諷刺と告発，そして現代の管理社会をすでに予知していたのである．出版された当時よりも現在読んでなお背筋がゾッとする迫力ある作品である．そして本物の1984年は例年にない寒気の異常気象とおしんブームで年が明けた．

　情報化社会といいながら政治経済の見通し，これからの我々の未来がどうなるのか先は限りなく暗く不透明である．20世紀の科学の進歩はめざましく，その結果，我々に豊かな生活を保障してくれた．