研究と報告
片麻痺患者に対する機能的電気刺激装置―適応症例,短下肢装具との比較,和式生活への適応
松矢 正利
1
,
川村 次郎
1
,
玉置 哲也
2
,
西原 一嘉
3
,
広田 茂美
1
,
鈴木 重行
4
,
富永 晟浩
5
,
鮎沢 芳穂
6
,
田村 茂
7
Masatoshi MATSUYA
1
,
Jiro KAWAMURA
1
,
Shigemi HIROTA
1
1大阪労災病院
2富山医科薬科大学整形外科
3大阪電気通信大学精密工学科
4国立神戸病院
5川村義肢株式会社
6国立循環器病センター
7富山医科薬科大学
1Dept. of Rehabilitation, Osaka Rosai Hospital.
pp.127-132
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103040
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Ⅰ.はじめに
片麻痺患者のリハビリテーションにおいては,下肢の運動機能の回復は上肢と比較して良好で,歩行を獲得する割合も高い.しかし,それらの多くの症例は歩行時に補助具を必要とする場合が多い.とくに足関節の内反尖足に対して従来より種々の短下肢装具が作製され日常生活に使用されている.
機能的電気刺激(Functional electrical stimulation,以下FESと略)は,1961年にLibersonらによって報告された方法で,片麻痺患者の腓骨神経を遊脚相に合わせて電気刺激し歩容を改善しようとするものである9).これは欧米諸国では,すでに臨床的に実用化されている1,16,17).わが国には1970年代に加藤らによって始めて紹介され2),一部製品も輸入されたが,以後一部の報告はあるが,臨床的な適応症例の検討は行われておらず,日本の日常生活におけるFESの実用性についての報告も行われていない4,5,18).
我々はリュブリアナの製品をモデルとしてFESの装置を作成し3),臨床に使用する際のひとつの指標とするべく片麻痺患者の適応例の検討と従来の短下肢装具(以下AFOと略)との機能比較,さらに日本の生活様式における適応性の検討のため家庭生活での実用性を調査したので報告する.
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