Japanese
English
紹介
脳卒中片麻痺患者に対する機能的電気刺激
Functional Electrical Stimulation in Hemiplegic Patients
鈴木 重行
1
,
川村 次郎
2
,
坂本 隆弘
2
,
廣田 茂美
1
,
松矢 正利
1
,
浅野 達雄
3
,
林義 孝
1
,
玉置 哲也
4
,
西原 一嘉
5
,
富永 晨浩
6
,
千住 秀明
7
Shigeyuki SUZUKI
1
1国立神戸病院
2大阪労災病院
3大阪大学附属病院
4富山医科薬科大学
5大阪電気通信大学
6川村義肢株式会社
7国立療養所近畿中央病院付属リハビリテーション学院
1Department of Rehabilitation, Kobe National Hospital.
pp.331-335
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102857
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Ⅰ.はじめに
脳卒中を発症し病院に入院中のすべての患者は,“歩いて帰りたい”という切実なる願いのもとにリハビリテーションに励んでいる.幸いなことに,適切なリハビリテーションを行えば,そのうちの90%が歩行可能になると言われている21).これまで歩容を改善する目的で,腱移行術などの手術療法と装具療法さらに理学療法士の行う運動療法などが施行されてきた.
下肢装具については,昭和54年度日本リハビリテーション医学会調査によると,脳卒中患者には実に86.5%もの高率で短下肢装具が処方されている20).しかし,短下肢装具には,①足関節の自由度を制限する,②和式ADLに不適,③共同運動による足関節内反尖足の矯正不十分などの難点も見られ,装具装着3カ月後には約40%の患者が装具を手放すとの報告もある35).
一方,片麻痺患者のような上位運動ニューロン障害では,筋および末梢神経の電気的興奮性は失われていないので,電気刺激によって筋の運動を制御することが出来る.1961年Libersonらは,片麻痺患者の患側前脛骨筋のmotor pointに表面電極を用いて電気刺激を行い,尖足を矯正し歩容の改善を試みた最初の報告を行っている16).彼らは,これを麻痺筋の機能的電気療法(functional electrotherapy)と名づけたが,本装置は現在欧米においてすでに実用化されている.
我々は,今回ユーゴスラビア・リュブリアナ工科大学で開発された装置を基礎として,本装置を試作し,装着試験を行ったので装置の紹介とともに報告する.
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