The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 11, Issue 2
(February 1977)
Japanese
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はじめに
下肢切断者が退院して自宅に帰ったあと和式生活の中で義足についての不満を訴え改良を望む声は少なくない.ての原因の大半は病院での生活と退院後の生活様式との違いにあることは言うまでもない.
欧米においてもその土地と生活様式に合った義足が誕生し,発達したのは必然的な要素があったからであり,同時に日木においてもてれまで歩んできた過去の経験と知識を基盤として,わが国の風土と生活様式に合った義足の開発が必要なてとは説明するまでもない.
過去において我々が切断者に義足を処方する時,はたしてどのようにしてきたかを振り返ってみると,欧米からメカやパーツを人手し,その中より切断者のニードに合いそうなものを選んで処方するという方法がとられてきた.切断者にとって弟1のニードとしては耐久性があり,痛みをひきおこさず,安定性のある義足が望ましいので,機械的にる日本よりすぐれているメカを欧米より導入し,解決されていたのが現状であった.しかしそれら最低のニードが満たされると第2のニードとして日本の風土に台った義足が要求されるのは自明の理である.
われわれと同じ土地に生れ,同じ生活様式をもった人達が切断者になってわれわれの前におり,ての人達のために最も良い義足は何かという問いが発せられた時,日本の生活様式に適した義足の改良が強く望まれるのは当然のてとである.それにもかかわらず現在まで日本の生活様式を第一に考えられた義足がほとんどがなかったために,切断者の多くはやがてあきらめていくのが現状のようであった.
では,切断者が自宅に帰ったあと日常生活の中でどういう不便さを感じ,それゆえどのような改良を望んでいるかを具体的に述べてみると,
1)畳の生活と靴ばきの両方に使用可能.
2)正座,あぐら,横ずわりが可能.
3)和式便所の使用(しゃがみてみ)が可能.
などがあげられるが,日本の和式生活の中で生じたてれらのニードに対して,過去においてなされてきた対策を振り返ってみるてとにする.
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