とびら
転換期をむかえる精神科医療
樋田 精一
1
1国立武蔵療養所
pp.69
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103025
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精神科医療が大きな転換期をむかえつつある.厚生省は,現在32万の精神科病床を今後10年間で20万に減らす方針であるという.そして,社会復帰促進の施策をたてるためとして,今年度中に精神衛生実態調査を行おうとしている.この調査は,昭和29年以来,ほぼ10年ごとに行ってきたものであり,昭和29年の第1回調査では,全国で精神障害者130万,うち当時すでに入院している3万を除きさらに43万の施設収容が必要であるという結果を出し,その後,急速な精神科病床増加策をとった.昭和38年の第2回調査では,放置されている在宅精神障害者の問題の深刻さを強調して,はじめて保健所を地域精神衛生の一線機関として位置づけ,精神衛生法を改正し,保健所が在宅精神障害者の把握と管理をするという方向をうち出した.最近,急増しつつある保健所におけるデイケアも,この施策の方向に沿うものと考えられる.
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