The Japanese Journal of Physical Therapy and Occupational Therapy
Volume 18, Issue 2
(February 1984)
Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
前回1)は障害学という新しい学問そのもの(障害学論)と障害の概念と構造(障害論)について述べた注)が,今回はそれにひきつづき障害の分類について述べたい.「障害学原論」としては,この2回で扱った範囲だけでなく,その他に障害学の研究の方法論(障害の認識論)その研究態勢の問題(障害学研究の組織論),その他さまざまなテーマが含まれるものと考えられる.しかし,これらはいずれもある程度以上の研究実績,研究経験が積み上げられてはじめて理論的考察が可能になるはずのものであり,現在はまだその時期が熟していないと考えざるを得ないので特に触れないことにした.
ただ障害学研究の組織論については,その中心的な問題のひとつ,すなわち誰が(どの職種が)障害学の研究の荷い手となるべきかという問題については,筆者なりの考え方をここで簡単に述べておきたい.細かいことは抜きにして,結論を述べてしまえば,筆者はリハビリテーション活動そのものと同様に障害学の研究もまた多種類の専門職のチームワークで行われるのが理想であると考えている.しかし現実には色々な困難性があるので,ある一つの職種だけで行われる研究も当然あってよいであろう.そしてその場合,どれか一つの職種(たとえば医師)だけが障害学の研究に携わりうるというのではなく,基本的にはリハビリテーションに関与するすべての人々がそれぞれの得意とする角度から障害学のそれぞれの側面の研究に貢献すべきものと考えられる.障害学の対象とする障害の多様性と,その異なったレベル相互の間での関連性の複雑さを考えれば,きわめて多面的な多様な研究が必要になることは当然であり,そのためにも理学療法士,作業療法士をはじめとする多くの職種の参加が重要であると考えられるのである.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.