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特集 脳卒中
片麻痺上肢の治療―作業療法の視点より
Treatment of the Upper Extremity in Hemiplegia: An Occupational Therapist's View
松田 勇
1
Isamu MATSUDA
1
1金沢大学医療技術短期大学部
1School of Allied Medical Professions, Kanazawa University.
pp.629-634
発行日 1982年9月15日
Published Date 1982/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102696
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はじめに
治療という言葉は,従来impairment(機能障害)に対する方法として用いられているようであるが,作業療法では,その日常の業務すなわち作業・活動を主な手段とする点で治療としての目的・方法・結果(効果)がimpairmentに対してどこまで直線的な因果関係の保障の上に成されているか疑問な点が多い.鎌倉はその点に関して『機能改善ならPTの方が余程いいのではないかと思ったこともあります』と述べ『具体的結果を述べた文献があまりにも少ない』とも指摘している1).しかし,これらの疑問は作業療法を狭義の治療すなわちimpairmentの改善と見る傾向が強いために起こる疑問である.筆者は治療と言う言葉をより広義に考えている.障害をimpairment・disability・handicapとして客観的に把握し,また上田が指摘しているように障害のもう1つ別な次元すなわち「患者の主観的体験としての障害」2)に対しても治療という言葉は充分あてはまると考えている.筆者は片麻痺上肢に対する治療をこのような視点で行うことが,作業・活動を用いた作業療法の真のいき方だと信じている.
そこで本論文ではまず麻痺上肢をどのようにとらえるかについて概略を述べ,次に作業の治療的意味を具体的な治療構造のもとに検討を加える.最後に患者の心理的背景を中心に麻痺上肢治療上の2~3の注意点に触れたい.しかしながら,これらの諸点に関しては,未だ充分に考えの熟していない点もあり,不足の点はお許し願いたい.
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