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第6回「理学療法と作業療法」賞・受賞論文
準入賞:乳房切断術後の理学療法の効果―肩関節可動域を中心にして
Effectiveness of Physical Therapy for Postmastectomy Patients: Especially on Shoulder Range of Motion
辛島 修二
1
,
立野 勝彦
1
,
奈良 勲
1
,
野口 昌邦
2
Shuji KARASHIMA
1
,
Katsuhiko TACHINO
1
,
Isao NARA
1
1金沢医療技術短期大学部理学療法学科
2金沢大学医学部付属病院
1School of Allied Medical Professions Kanazawa University.
pp.1019-1024
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102537
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Ⅰ.はじめに
日本における乳癌の発生状況を罹患率より調査することは困難であるが,死亡率よりみると僅かに上昇の傾向を示している1).また,日本人の生活様式の欧米化に伴い,将来日本における乳癌の発生が増加するものと推察される2).
乳癌の治療法としては,手術療法,放射線療法,内分泌療法,化学療法などが主として行われるが,その効果の確実性からいって手術療法にまさる治療法はなく,その他の治療法は補助的治療の域を出ない3).
乳癌の手術方法は,各種の根治的乳房切断術が行われており,5年生存率は60~70%前後で,他の臓器癌に比べ予後が良好である4).
根治的乳房切断術は,1894年Halsted, W.S. およびMayer, W. が,その基木術式である定型的乳房切断術を確立して以来,変遷をかさね,現在では定型的乳房切断術(standard radical mastectomy),非定型的乳房切断術(modified radical mastectomy),拡大乳房切断術(extended radical mastectomy),単純乳房切断術(simplemastectomy)などが行われている4).
しかし,徹底した手術に伴う患者の身体的・精神的な侵襲は大きく,術後のリハビリテーションアプローチが必要となってくる.
金沢大学医学部附属病院では,そういう観点に立ち,1980年6月から乳房切断術直後より理学療法を施行してきたので,その効果について肩関節可動域を中心として述べてみたい.
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