Japanese
English
特集 片麻痺の随伴障害
肩関節可動域制限
Motion range restriction of shoulder joint.
若林 秀隆
1
,
伊佐 美由紀
2
,
清澤 祐子
2
Hidetaka Wakabayashi
1
,
Miyuki Isa
2
,
Yuko Kiyosawa
2
1済生会横浜市南部病院リハビリテーション科
2横浜市立脳血管医療センターリハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, Saiseikai Yokohama City Nanbu Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Saiseikai Yokohama stroke and Brain Center
キーワード:
片麻痺
,
肩関節
,
患手管理
,
脳卒中
,
作業療法
Keyword:
片麻痺
,
肩関節
,
患手管理
,
脳卒中
,
作業療法
pp.1101-1106
発行日 2003年12月10日
Published Date 2003/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100935
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はじめに
麻痺側上肢に肩関節可動域制限を合併する率は高い.Hakunoら1)の報告では,79%の麻痺側上肢に肩関節可動域制限を認めた.われわれ2)の回復期の調査では,急性期から作業療法が施行された場合は38%,施行されなかった場合は77%の麻痺側上肢に肩関節可動域制限を認めた.肩関節に可動域制限を認めると,更衣や入浴などの日常生活活動に支障が生じる.また,麻痺側上肢の運動機能障害の程度は主観的なQOL(quality of life)に大きな影響を与えるため3),肩関節可動域制限を認めるとQOLは低下する.したがって,肩関節可動域制限の予防や治療は,麻痺側上肢を管理するうえで重要である.
われわれ4)は患手管理を「二次的合併症の予防と機能維持を目的とした麻痺側上肢の管理」と定義した.その内容は,手部の保清(手洗い,爪切りなど),動作時の取り扱い(起居時,立ち上がり・トランスファー時,移動時など),ポジショニング(机上,ベッド上,スリング・テーブルなど),体操・ストレッチ(体操,ストレッチ,マッサージなど)の4項目である.慢性期では患手管理の指導と定着によって,麻痺側上肢の肩関節痛の改善4)や肩関節可動域の維持5)が得られている.しかし,回復期では肩関節可動域の維持など患手管理の効果について述べた報告はない.今回は,回復期の麻痺側上肢に対する患手管理の効果と,患手管理の必要な対象患者の特徴および管理指導方法について検討した.
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