反省させられた症例
重度の合併症をもつ片麻痺患者の機能的作業療法について
柏木 正好
pp.717-718
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102252
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はじめに
片麻痺の作業療法において,失行症・失認症(広い意味で以後高次機能障害と呼ぶ)の占める比重は高まりつつある.しかし高次機能障害が細く分析され組織だったプログラムが展開され得るのは人格的崩壊がなく,さらにその障害を克服することがゴール達成上必要とされるようなごく狭い対象に限られることが多い.われわれの日常臨床場面で接する症例の多くは高齢であったり,重度の麻痺や意識障害など重複した障害像を呈しており,高次機能事態がリハプログラム上問題とされることは稀である.しかし運動療法にしてもADL諸動作にしても運動の再学習である以上高次機能を含めた障害の全体像を把握してプログラムを計画することが当然として望ましい.今回その意味から麻痺の回復と高次機能障害の関連を詳しくつかみ対応していくことの必要性を痛感させられた症例について検討を行いたい.
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