学会印象記
第15回日本理学療法士学会印象記
谷島 朝生
1
1川崎市心身障害センター療育相談所
pp.719-720
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102253
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ヒロシマ,ゲンバク,日本人なら誰でも連想するこの対語は,35年を経て風化したとは言え,まだ生々しい記憶を呼び起こすのに充分な力を持っている.否,ピカドンの実体験がない過半の世代でさえ,新しいイメージで,その悲惨さを構築しているに違いない.中国山地を流れ出た豊かな水は,古い城下町として栄えた時も,35年前も,そして現在も同じように歴史の証人として悠久の姿を横たえている.だが,広島の街並は,そんな想いを打ち消すように深い緑に包まれ皐月晴れの美しい眺めが,旅の疲れを癒してくれる.会場の広島市公会堂と平和記念館は,平和の祈りを込めた広島市のシンボルとして建設されたのであろう.悲しい軌跡を刻む原爆資料館をはさんで徒歩一分の至便な距離にある.この素晴しい環境の中に全国から1,100人のPTが集い,熱心な討議が交された.学会のコンダクターは,中国労災病院の高橋長氏であり,5月22,23日の両日であった.この記念すべき学会の年,4月1日には広島市が全国10番目の政令指定都市として生まれ変わり,学会を祝福してくれたのである.
学会の内容は極めて盛り沢山で,2つの特別講演,特別企画,シンポジウム,一般演題99題,映画演題2題に達した.
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