Japanese
English
研究と報告
重度の痙性片麻痺のリハビリテーションにおける手術的療法の応用
Surgical Treatment for Rehabilitation on a Case with Severe Spastic Hemiplegia.
梶原 敏夫
1
,
大谷 清
1
,
津布久 雅男
1
,
木村 彰男
2
,
千野 直一
2
Toshio Kajiwara
1
,
Kiyoshi Ōtani
1
,
Masao Tsubuku
1
,
Akio Kimura
2
,
Naoichi Chino
2
1国立療養所村山病院整形外科
2慶応義塾大学医学部リハビリテーションセンター
1Murayama National Hospital, Orthopedic Surgery.
2Rehabilitation Center, Keio University School of Medicine.
pp.593-596
発行日 1978年8月10日
Published Date 1978/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104026
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
痙性麻痺は,リハビリテーション(以下リハビリと略す)上の大きな問題点の一つである.即ち,痙性麻痺は,歩行も含めADLの障害となるばかりか,麻痺域の疼痛,拘縮,褥創の原因にもなり,その結果,リハビリ訓練を順調にすすめることが不可能となる.
痙性麻痺では1),筋の緊張や反射が異常に亢進し,四肢体幹の機能が著しく妨げられ,腹筋の板状痙直,股関節の屈曲内転,膝関節の屈曲あるいは,伸展痙直から痙性尖足に至るまで,種々の屈曲または伸展優位の肢位をとる.この痙直をできるだけ緩和し,あるいは除去することが,拘縮や変形を防止し,また直接に機能を再建させることになる.
痙性麻痺に対するリハビリは,まず,痙直を誘発する要因を除去し,積極的に機能訓練を行うことを原則とするが,それでも効果のない場合には,抗痙直剤の投与,フェノールやアルコールを用いる神経ブロックなどの非観血的療法を行い,さらに効果のない場合には神経手術及び筋,腱,骨関節に対する手術など観血的療法を行うのが,現況である.
今回,われわれは.重度の片側性体幹,下肢痙直に対して,観血的療法を加え,リハビリ上のゴール達成に成功した一症例を経験したので,若干の考察とともに報告する.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.