反省させられた症例
筋萎縮性側索硬化症の末期患者における理学療法を経験して
前田 真一
1
1金沢大学医学部付属病院
pp.651-652
発行日 1980年9月15日
Published Date 1980/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102232
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はじめに
理学療法において各種神経筋疾患がその対象となる割合は多い.その中でも筋萎縮性側索硬化症(以下ALSと略す)は数ある難病のなかでも最も重篤な疾患の一つと言われている.
リハビリテーション(以下リハと略す)の観点からすると,障害受容が出来れば90%は成功したとも言われる.しかし,障害受容への働きかけは欧米と違い,日本人の習慣を考えると,理屈だけで押し通せるものではない.ALS末期患者に対する呼吸筋麻庫による二次的合併症の予防および長期レスピレーター装着をめぐる重大な問題,精神活動とコミュニケーションの問題,また,病名,予後に関した障害受容への働きかけについてどこまで介入すればよいかなど,多くの問題が提起されよう.これらの諸問題に対し,理学療法士の立場から次に挙げる症例を通して得た経験をふまえそれらの点に触れ,かつ反省症例として報告したい.
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