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Ⅰ.まえがき
一般的傾向としてリハビリテーション施設を利用される障害者の障害の重度化,多様化が進んでいる.職業リハビリテーションの分野においても,脳性麻痺CVAによる片麻痺など上肢に障害のある身体障害者,またIQ測定不能クラスの精神薄弱者の就労に対するニーズが目だってきている.また障害の重度化とは別に職業ニーズも多様化している.
これら身心障害者の職業能力評価の試みとして,筆者らはプロセス評価を実施している.このプロセス評価の特徴は具体的にまた客観的に被評価者(ケース)の全体像を把握することがねらいで,作業状態の記録には電子装置を使用している.このため作業過程を指導員が見落すことを防ぐと共に主観や偏見のまじらないデータを得ることができる.電子装置によって得られたデータをもとにしてケースの状態,能力を把握すると共に今後の指導上の留意点,訓練方法を考察する.当然ケースの状態,能力の中に作業性(作業能率,作業特性など)が含まれる.これはデータから単位時間当りの製作個数,あるいは製品1個当り製作所用時間を読みとり,計算処理することによって作業能率を得,その時間経過による変化を見ることによって作業特性をとらえることができる.
作業特性はケースの種々の状態の情報が含まれていて評価分析の重要な資料となる.
1)平均的作業能率
2)訓練による作業能率向上の可能性
3)ケースの作業理解力
4)作業に対する意欲
5)労働耐久力
などである.
これらの処理は従来データ収集後,指導員が作業能率を電卓で計算し,作業特性を棒グラフで表わしていたが,多大な時間を要していた.この負担を軽減し分析をより深いレベルを行えるよう,またより早く次の指導方針を設定できるように,計算処理,作業特性のグラフ化をコンピュータに行わせると共に,データ収集のオンライン化を図った.これにより従来約8時間を要した処理が数分で完了するようになった.
ここではマイクロコンピュータに簡単なハードウェアを追加製作して構成した測定システムを紹介する(図1).
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