Japanese
English
特集 新しいリハビリテーション医療器具
作業療法における織機の活用
Application of Weaving to Occupational Therapy
高橋 博子
1
,
米倉 豊子
1
,
浜岡 勝
1
Hiroko TAKAHASHI
1
,
Toyoko YONEKURA
1
1九州労災病院
1Kyushu Rosal Hospital.
pp.525-532
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101957
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Ⅰ.はじめに
織物は,古今東西を問わず古来より生活に密着して存在し,文明の発達と共に織機の機械化がすすんでいる中で,昨今では手造りの良さが見直されているためか,手織ブームが到来している.
作業療法においても織物は,木工,粘土作業と並び,創造性豊かな一種目として活用されている.美しく織るためには高度な技術を要するが,織機それ自体の操作は綜絖の上下で経糸を分け,杼で緯糸を通し,筬で打って緯糸をしめる三動作にすぎない.そこで素人でも曲がりなりに織ることができ,上達も目に見え,配色や模様などの工夫で比較的容易に変化をもたせ楽しめる一面をも持っている.これらは治療面において心理的効果が期待されるものである.特に心理的OTが対象となる患者では,色彩の明度や配色に気を配り,意気消沈している患者には明るい色調を選ぶ.また,精神的に不安定な患者には落ちついた色合にし,高齢者の場合には見分けにくい色をさけるなどの配慮も必要であろう.さらに身体機能面では,織機は治療的活用の範囲が広く,他の作業所作では得難い所作活動に適応でき,次のような利点があげられる.
1.抵抗,方向などの変化で段階づけができ,治療機としての工夫が加えやすい.
2.応用性が広く,完成度が高い.興味がもてる.
3.年齢,性別を問わず利用できる.
以上,大まかな織機の利点をあげてみたが,織機の治療的活用について述べる前に,織機の種類,構造などについて触れておきたい.
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