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特集 新しいリハビリテーション医療器具
レスピレーターの原理と呼吸器疾患のリハビリテーションへの応用
Main Mechanism of Respirators for Pulmonary Disorders; Application to the Rehabilitation
福島 保喜
1
Yasunobu FUKUSHIMA
1
1東京都養育院付属病院呼吸器科
1The Yoikuin Tokyo Metropolitan Hospital.
pp.533-538
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101959
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はじめに
人工呼吸器によって補助呼吸が試みられた歴史は永く,聖書の中にその記載がみられるといわれる.血中のガス交換を行う最初の仕組みである一次呼吸は,胸郭を形作っている各要素と,そのまとまりである構造に神経中枢の調律制御が働いて駆動され維持されている.このように,この一次呼吸に関わる臓器の種類とそのそれぞれの占める空間は大きい.つまり,こうした成り立ちの臓器の特徴はいろいろな因子により障害され易いのであって,その結果である一次呼吸の機能を何らかの手段で確保しようとした経緯が浅からぬ因縁にあったことは当然であろう.その補助的手段が口口呼吸や小型吹子の利用で始り,ひとの体の構造の模倣ともいえるタンク型レスピレーター,いわゆる「鉄の肺」を造りだしたのがやっと50年前である.以来,麻酔学の発達,呼吸生理学の展開そして急速な機械技術の発展によって,レスピレーターの機構や機能についてはほぼ完成の域に達しているといえるであろう.これが最も理想的な人工肺にとって代られるその日までどのように変遷してゆくものかはそれ自身大いに興味深い問題である.ところがこの未知の過程そのものの中に実はレスピレーターの応用と呼吸器リハビリテーションとの相互の働きかけが深く不即不離の関係を保ち続けるであろうとするのは過言であろうか.こうした視点よりレスピレーターのもつ機械的性格を解説し,呼吸機能の回復補強訓練に応用しうるであろう方向を探ってみたいと考える.
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