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特集 義肢・装具ハンドブック
Ⅰ.義肢・装具の世界
義肢・装具給付システムの現状と問題点
Problems of Public Service System of Prosthesis and Orthosis
黒田 大治郎
1
Daijiro KURODA
1
1兵庫県身体障害者更生相談所
1Hyogo Prefectural Institute for Rehabilitation of handicapped Adults.
pp.781-792
発行日 1978年11月15日
Published Date 1978/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101806
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はじめに
障害者はもとより障害者のリハビリテーションに携わるすべての関係者にとって義肢装具は極めて重要な意味と役割を担うものである.それだけに治療や訓練,日常生活や社会復帰に役立ち,障害に適応した義肢装具をできるだけ早く,しかも簡単な手続きで使用できるようになりたいと誰もが望んでいる.
果して現行の義肢装具給付システム(以下現行システムと略)は,この要求に応えられろ程に整備されたものであろうか.残念ながら現行システムは,未だ解決を迫られている数多くの問題を抱えているように思われ,整備されているというには程遠い感じがする.
表1は現行システムにおける問題点を整理したものであるが,このうち①医学的問題,②義肢製作技術問題については,日本整形外科学会等を中心に,医師,セラピスト,義肢製作技術者が積極的に取組みをみせ1,2,3),近い将来大いにその具体的な成果が期待されている.一方③行政および社会福祉問題についてはこれまで余り議論されておらず,その研究も数少ない4,5).そのため前二者と③とのgapは益々広がる傾向にある.もしこのままgapを放置すれば,前二者の問題が解決の方向にむかったとしても,障害者中心に考えた義肢装具給付システムの実現は望めないと考える.
従ってこのgapの解消に,行政担当者をはじめ教育,社会福祉関係者,さらに医師,セラピスト,義肢装具製作業者および技術者の関心と,積極的な取組みを期待したい.いずれにしても,ここでは表1のすべての問題に触れる余裕はないので,③について現場的な視点からの意見を述べてみたい.
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