Japanese
English
特集 脳性麻痺
知覚の発達―正常児の発達を中心に
Development of Perception for Normal Child
江口 洋子
1
Youko EGUCHI
1
1東京都心身障害者福祉センター
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Center for the Physically and Mentally Handicapped.
pp.527-533
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101729
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はじめに
多くの脳性麻痺の子供達に接してみると,まとまりのある絵を書けない子,漢字は読めても書き取りのできない子,またかくれんぼをして一部分が見えているにもかかわらず見つけることができない子によく遭遇する.このような時我々は子供の見えている世界がどのようになっているのだろうかと疑問をもち,知覚障害の存在を疑う.
ところで多くの文献は脳性麻痺の知覚の特徴を次のように指摘している1,2,3,4).1)複雑な背景から図となる部分を的確にとりだして知覚することができないこと(図―地知覚障害).2)線や図形の正確な模写が困難なこと.特に図形を認知することより,図形を構成することが困難であること(知覚―運動協応障害).
しかしこのような現象は正常児の発達過程のある時期にみられることでもある.それが脳性麻痺児においては,その他の知的行動と比較した時に,その部分ができないこととして私達の眼にうつる.実際ニールセンなどの研究によると,知覚―運動協応については脳性麻痺児の場合正常児よりも2~3年遅れて発達していくという結果を得ている5).そこで脳性麻痺児の知覚を知るうえで,正常児が外界をどのように見ているのか,その発達過程を知ることが重要となる.
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