Japanese
English
研究と報告
すべり台による運動発達評価の試み―保育園における正常児の発達
A Trial of Evaluation of Motor Development by Use of Slide ―The Development of Normal Children in Nursery School
長田 香枝子
1
,
石本 幸生
1
,
関 育子
2
Kaeko NAGATA
1
,
Yukio ISHIMOTO
1
,
Ikuko SEKI
2
1東京都心身障害者福祉センター
2国立聴力言語障害者センター
1Tokyo Metropolitan Rehabilitation Center.
2The National Center of Speech and Hearing Disorders.
pp.53-58
発行日 1979年1月15日
Published Date 1979/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101836
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Ⅰ.研究動機および目的
子供の遊びは動的な遊びが多い.その実際の生活場面では,スピードなど諸々の刺激が加わり,適応能力が未成熟な障害児の場合は,遊びや生活に幅や深みを持たせることができないばかりか,転倒などの危険性に対する防御反応欠如となりかねない.TLR(緊張性迷路反射),TNR(繁張性頸反射)といった下位レベルの反射がいつまでも残存し,立ち直り反応,上肢保護仲展,平衡反応など,上位レベルの反射の成熟の遅れている脳性麻痺児(以下CPと略)などは,全く無防備で,顔面や頭部を強打してケガをする子供も居る.上位で統合される平衡反応の検査法の中で,CP児などの評価に最も多く用いられている方法は,Magnusにより研究され体系づけられた立ち直り反応の検査や2~4)斜面板検査tilting table test(Rademaker)(図1)2)を応用したところのバランスボードによる検査方法5)などがある.これは,図2のように子供を腹臥位,仰臥位,坐位,四つ這い姿勢,膝立位,立位等々の姿勢をとらせて,前後あるいは左右に傾斜させた時の,傾斜に適応する姿勢を観察する方法である.この台の傾斜に対する立ち直り反応は,台をゆっくり傾けた時は自己受容器より現われるが,急に傾けた時の立ち直りは,前庭半規管(三半規管は回転の加速度を,耳石器は直進運動の加速度および頭の空間における位置を感ずる)の働きにより行われる2).さらに上位のSkilled movement(図3)6)統合検査となると,遊びや生活場面の観察による主観的評価に頼っている部分が多い.
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